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「日本の鋳金 ー いものの形」展ʼ 11

日時:2011 年 10 月 4 日(火)~16 日(日)10 時~17 時 30 分場所:埼玉県立近代美術館(一般展示室-1)

関連企画  講演会  場所:埼玉県立近代美術館講堂  10 月 9 日(日)13 時 30 分、15 時
講師 角谷 征一(角谷一圭工房主宰・日本鋳金家協会会員) 題目「釡づくり三代」
講師 羽田 康一(国際基督教大学研究員・日本鋳金家協会会員) 題目「ブロンズのデュナミス ̶ 古代ギリシャの いもののかたち」

主催:日本鋳金家協会

ご挨拶

私ども日本鋳金家協会は創立 100 余年の歴史を有します。このことは、かつての大震災や戦争、そして幾多の社会情勢を乗り越え、人々の営為とともに受け継がれて、今日の私どもがここにあるのだという事を、この度の大震災の惨禍に遭遇して改めて思いおこさせます。この未曾有の出来事は、私達の日常の価値観を大きく揺さぶるものでもありました。日々を裏付けている何気ないことが、一面ひどく脆く儚いものであるという現実を突きつけられ、様々に私達の心に影を落とすこととなりました。 ここに展示された 70 余点の鋳物の仕事は、自らの手で土をこね、鋳型を造り、地金を熔解して、それぞれの思いを形にしたものです。私どもには作り手として思うところがあり、展覧会を観てくださる皆様にも様々な想いがおありかと存じます。この大きな悲しみを越えて、私どもは鋳物を吹きここに並べます。惨禍へのレクイエムとして、不条理へのカタルシスとして、自らを奮い立たせるべく。 今回は会員の外に6名の若手鋳金作家を招待展示いたしております。また鋳金の世界を紹介する記事も取り上げました。私どものいものの形が、観て頂く皆様の心にとどまって、人々を力づけるものとなればと願っています。

「日本の鋳金 ー いものの形」展 2011 実行委員会

 

展示風景

本展では、物故作家の方 2 名を含む展覧会出品者 65 名(うち招待作家 6 名)の作品総数 71 点が一同に並び、茶の湯釡や器物から、ジュエリー、オブジェ、壁面装飾など多岐にわたる鋳金作品の展示となりました。2008 年展と同様に鋳物の歴史・技法についてまとめたパネルの展示をおこないました。今回は新たに「坂本龍馬像の修復」「発掘された古代ギリシアのブロンズ」「鋳金技法紹介 - 茶釡」「「鋳金技法紹介 - 石膏鋳造」の 4 種を加えました。

 

講演会

左:講師 角谷 征一(角谷一圭工房主宰・日本鋳金家協会会員)  題目「釡づくり三代」 三代に渡って茶釡作りをされてきた角谷氏に、ビデオとスライドを使って講演をしていただきました。(お父様は茶釡の人間国宝・角谷一圭氏です。)宮大工をされていたお祖父様が、偶然見かけた鋳物の仕事に興味を抱き、弟子入りされたお話が大変興味深かったです。

右:講師 羽田 康一(国際基督教大学研究員・日本鋳金家協会会員)  題目「ブロンズのデュナミス ̶ 古代ギリシャの いもののかたち」 古代ギリシアのブロンズ彫刻の技法について、ご自身の研究から得られた最新データを基にお話をしていただきました。大変興味深い内容に、聴講者からも熱心な質問が相次ぎました。